無くすことで生まれる価値 – ゼロ系飲料の市場拡大
カロリーゼロ、糖類ゼロなどの「ゼロ系飲料」の市場が拡大し続けている。富士経済によると、2010年のゼロ系飲料市場は前年比36.9%増の1,835億円と推計しており、低迷する清涼飲料水市場の中でもその成長が注目されている。
市場拡大の要因は、言うまでもなく健康志向の高まりによるものだ。2008年から特定健診・特定保健指導(メタボ健診)が始まったこともあり、低カロリー、カロリーゼロというフレーズが女性のみならず男性の心にまで響くようになった。実際、男性諸氏に人気の缶コーヒージャンルにおいても、メタボ健診のスタートとほぼ同時期に発売されたアサヒ飲料の「ワンダ ゼロマックス」が市場を牽引し、現在では主要メーカー各社が「ゼロ系缶コーヒー」をラインナップするに至っている。
以前から微糖の缶コーヒーは根強い支持を得られていたが、微糖であっても糖類が含まれているためカロリーはゼロにはならない。甘みがあるのにカロリーゼロ、その秘密は「甘味料」にある。ゼロ系飲料に含まれるアセスルファムカリウム、スクラロースなどの人工甘味料はノンカロリーという性質に加え、砂糖のように血糖値を上げないという特長もあり、糖尿病など血糖のコントロールが必要な人でも安心して摂取することができる。本当は甘い缶コーヒーを飲みたいのに、糖類の摂取制限があるためブラックで我慢していたという人も、人工甘味料を使った「ゼロ系缶コーヒー」なら血糖値が上がらないから、甘いものを我慢しなくてもよいのだ。
従来はあって当たり前だったものを無くすことで、このような新しい価値が生まれる。
しかし、ただ無くすだけでは駄目だ。いらないものを無くしたとしても、満足感を失わない工夫が求められる時代である。清涼飲料水はもちろんのこと、酒類やタバコ、菓子などの嗜好品ジャンルは競争が激しいものの、まだまだ市場成長の余地があるように思う。
我慢しなくてはいけないのに、我慢したくないもの。ヒット商品のヒントは身近に転がっている。





